みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。
先日,健康的な食生活を送る際に目安となるものとして「食事バランスガイド」を紹介しました。食事バランスガイドを参考に食事を摂ることで,栄養素の摂取バランスも整いやすく健康的な食事がとりやすくなります。
今回は,食事バランスガイドを遵守するメリットを示した研究を紹介したいと思います。
ざっくりいうと,
となります。
本研究は,日本の保健所ベースの前向きコホート研究です。食事はFFQ(食物摂取頻度調査)によって測定され,その結果は食事バランスガイドの遵守度としてスコアリングされました。死亡原因は死亡証明書によって確認されました。食事バランスガイドの遵守度スコアを4分割し,全死亡率またはそれぞれの疾患での死亡率のハザード比が計算されました。ハザード比の算出にあたっては,年齢や性別,調査地域や身体活動レベルなどの影響が調整されています。
本研究は,日本の保健所ベースの前向きコホート研究です。最大で15年間フォローアップされました。 その結果,食事バランスガイドの遵守度が高い人は,死亡率が低くなる傾向にありました。このような結果になったのは,副菜と果物,主菜の遵守が関係した可能性があります。
総死亡率については,食事バランスガイドを最もよく遵守していた人は,していなかった人と比べて,約15%もリスクが低い結果となっていました。このような関連は特に脳血管疾患による死亡率では顕著で,最も遵守していた人はしていなかった人と比べて,22%もリスクが低い結果となりました。
その他,ガンや循環器疾患,心血管疾患でも,スコアが高い人の方がリスクが下がる傾向にありましたが,ガンと心血管疾患では統計学的な関連は見られませんでした。
食事バランスガイドの遵守については,副菜と果物の摂取が効果的だった可能性があります。総死亡率については,副菜と果物のスコアが1点上昇した場合に総死亡率が2%低下,牛乳では1%低下していました。これらの摂取量をしっかりと遵守していることが,特に死亡率に影響した可能性があります。
よく言われる,「バランスの取れた食生活を」の正解の1つが「食事バランスガイドの遵守」かもしれません。前回の記事で食事バランスガイドの活用について紹介しましたが,こんな研究結果が示されると,俄然やる気になるのではないですか?
私が思う,この研究で注意しなければならない点は,食事バランスガイドの遵守度とその他の個人的性質です。食事バランスガイドの遵守度が低い人は高い人と比べて,男性が多く,アルコールをよく飲み,喫煙率も高い傾向にありました。これらは統計学的には調整されましたが,それ以外の測定されていない性質は調整できておらず,何らかの交絡が残っている可能性があります。この点には,やや注意する必要があると考えます。