「Tr」はどう使う?食品成分表の記号の意味と栄養計算での扱いについて

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

食品標準成分を見ていると,数値が入力されているはずの箇所に「Tr」や「」などが入力されている場合があります。どのように計算すれば良いのか,迷う方もいらっしゃるかもしれません。

今回はこれらの記号の意味について紹介し,また栄養計算時にどのように扱えばよいのか解説します。

食品成分表の記号の意味と栄養計算での扱いまとめ

下記に記号の意味と栄養計算時の扱い方についてまとめました:

記号意味栄養計算での扱い
(個人的推奨)
未測定(0ではない)0 もしくは
類似食品で代替
0最小記載量の1/10未満または検出されない0
Tr最小記載量の1/10以上かつ5/10未満0
(数値)推計値数値
(0)含まれていないと推定される成分0
[数値]原材料の収載値等と配合割合から栄養計算
の手法を用いて計算された成分値
数値

それぞれの記号について簡単に解説

  • :未測定を意味します。0という意味ではありませんが,一般的にはとして計算されます。ただし,類似食品で成分値が掲載されている場合は,類似食品の値で代替する方が良いでしょう。
  • 最小記載量の1/10未満または検出されなかった場合に記載されます(ヨウ素・セレン・クロム・モリブデンは3/10,ビオチンは4/10)。最小記載量の1/10未満というとかなり少ないです。栄養計算上は無視できる値と考えられますので,そのままで計算してしまって良いでしょう。
  • Tr最小記載量の1/10以上~5/10未満を意味しています。「微量」を意味する「Trace」からきています。「微量」含まれるという意味ですので,栄養計算時には戸惑うかもしれませんね。しかし,基本的には0で計算して差し支えないと考えます。たとえ「最小記載量の5/10」が含まれていたとしても,1,000g食べた際に最小記載量の5倍程度しか影響しないからです。レチノールを例にすると,最小記載量は1μgですので,その5倍は5μgです。1,000g食べてこの程度だとすると無視してしまっても大きな影響はないと考えて良さそうです。
  • (数値)推計値であることを意味しています。たとえば「01154 もち米」については,食物繊維等の成分値について「01088 うるち米」から推計された値が掲載されています。その他のケースですと,「生」の成分値から「ゆで」・「焼き」等の成分値が推計されたり,海外の食品成分表の類似食品から推計されたりといった場合に推計値ということでカッコが付されます。栄養計算上は,カッコを外した値で計算するのが最も合理的でしょう。ただし,それらの値が推計値によるものであることは念頭に置いておかなければなりません。特に脂肪酸成分表等の別表については推計によるものが多いです。これらの正確な値を求めようとする場合はより一層の留意が必要となるでしょう。
  • (0)文献等により含まれていないと推計される値です。未測定でもありますが,何らかの数値を示してほしいという要望から0にカッコを付して (0) と表示しています。栄養計算時はで計算してしまって差し支えないでしょう。
  • [数値]原材料の収載値等と配合割合から栄養計算の手法を用いて計算され,かつ原材料の成分値に-(未測定)がある成分値です。たとえば,追補2018で追加された「15144 ずんだ」のヨウ素やセレン等はこの方法で表示されています。ずんだの成分値は,えだまめ(ゆで)250g,砂糖(上白糖)145g,食塩1gの配合割合から計算によって算出されていますが,えだまめ(ゆで)のこれらの成分値が未測定ですので,代わりの値があてがわれ,計算されています。このようにして算出された成分値にはブラケットが付されて掲載されます。栄養計算時にはブラケットを外した数値で計算すると良いでしょう。

注意

栄養計算での扱いについては,特にこれと決められているわけではありませんが,一般的に知られている活用法の例として示しています。あくまで例ですので,これ以外だと絶対に間違いというわけではありません。ご留意ください。

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