【好みのコーヒーを見つけるために】生産国より焙煎度に着目【文献紹介】

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

普段コーヒー豆を購入される方,どのような基準で購入してますか?

ちょっとその辺りのコーヒーショップに入ってみると,「オリジナルブレンド」や「アイスコーヒーブレンド」等のブレンドコーヒーに加えて,「エチオピア」とか「コロンビア」とかの単一原産国のコーヒー豆が並んでいます。もう少し詳しめの店だと,もっと細かく分類されていたりしますが,概ねこの程度ではないでしょうか。

つまり,コーヒーはその原産国によって大きく分類されています。でも,普段それほどコーヒーを飲まず,また自分好みの味も明確でない方の場合,原産国よりも焙煎度に気を配ってみたほうが好みの味を見つけられるかもしれません。今回はこれについての研究を紹介します:

研究の概要

要約

  • 原産国・焙煎度ごとに香り属性を同定し,主成分分析を行った
  • 焙煎度が低いほど甘みが強く,高くなるにつれ一般的なコーヒーの属性(ロースト感など)が強くなった
  • 香りはコーヒーの原産国よりも焙煎の度合いの影響を強く受けていた

コーヒーに含まれる芳香は,基本的には生豆の原産地によって特徴づけられます。ただし生豆の段階では芳香が閉じ込められた状態ですので,焙煎によって生豆の細胞壁を壊し,芳香が放出されやすくするわけです。

そのため,原産地によって特徴づけられるとはいえ,焙煎の度合いによっても,最終的なコーヒーに含まれる芳香にも大きな違いがでてくると考えられます。本研究では,三種類の豆の原産地(エルサルバドル,ハワイ,エチオピア)ごとに,焙煎の度合い(浅煎り・中煎り・深煎り)が芳香の違いに及ぼす影響についても検討しています。

コーヒーは,挽いたコーヒー豆4.9gで100mlのコーヒーが抽出されました。これらのそれぞれについて,訓練を受けたパネリストによって芳香の評価が行われました。焙煎は,下記の温度と時間で行われました:

  • 浅煎り:180°C 3分30秒;205°C 3分
  • 中煎り:180°C 3分30秒;205°C 4分;238°C 10秒
  • 深煎り:180°C 3分30秒;205°C 4分;238°C 1分

なお,豆の種類や焙煎度と芳香との関係を調べるため,主成分分析も行われました。豆の種類や焙煎度と芳香との関係について,主成分得点を図示したものが下記になります:

文字と写真のスクリーンショット

自動的に生成された説明
出典)Bhumiratana, Natnicha, Koushik Adhikari, and Edgar Chambers IV. LWT-Food Science and Technology 44.10 (2011): 2185-2192. , Fig4を一部改変

焙煎の度合いが高くなるにつれ,「ロースト」・「ナッツ」・「焦げたような」芳香が増加することが明らかになりました。「甘い香り」や「酸味のある香り」は浅煎りのコーヒーに認められていました。

そしてこれを見ると,コーヒーの芳香はコーヒー豆の原産国よりも焙煎度によって特徴づけられることがわかります。

普段エルサルバドルの深煎りのコーヒーを飲んでいる人が,エチオピアの深煎りのコーヒーに変えたとしても,それほど大きな差を感じないかもしれません。しかし,同じエルサルバドルのコーヒーでも,深煎りから中煎りや浅煎りに変更することで大きな芳香の変化をもたらしてくれます。

ただし浅煎りですと,原産国による「振れ幅」が大きくなっていました。つまりそれぞれの特徴がしっかりと表現できていました。逆に深煎りだと,豆自体の個性が均されてしまっているようです。したがって,その原産国の特徴をしっかりと味わいたい場合は浅煎りがオススメといった結論になると思います。

まとめと感想

今回は,コーヒーの原産国と焙煎度が芳香に及ぼす影響について調査した研究を紹介しました。

一般的には,コーヒーはそれぞれの原産国(品種)に応じた焙煎度で販売されています。しかし,以前に一般的には深煎りで提供されるでろうマンデリンの浅煎りを飲んだ際には,深煎りのそれとは全く別の芳香を感じることができました。原産国というよりも焙煎度を重視して選んでみることで,コーヒー選びの幅が広がるかもしれませんね。

なお今回紹介した研究は下記の書籍でも紹介されています。興味ある方は読んでみてください:

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