みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。
今回はサプリメントとの付き合い方について紹介したいと思います.栄養士の方もそうでない方も読んでみてください.
サプリメントに頼らない食生活
タフツ大学の研究者らから,サプリメント摂取と健康との関連について,興味深い報告がなされました.
上記報告のタイトルを直訳すると,「サプリメントではなく,食品からの栄養素の摂取は,死亡リスクの低下とガンとに関連している」となります.
詳細はリンクからご覧いただきたいのですが,日本語で要約すると以下のようになります:
- ビタミンA,K,マグネシウム,亜鉛,銅の適切な摂取(推定平均必要量か推奨量以上の摂取量)は死亡率の低下と関連していた
- 上記の効果はサプリメント以外(食品のみ)から栄養素を摂取した場合い限定されていた
- サプリメントからのカルシウム摂取はガンの死亡リスク増加と関連していた
なるほど,栄養士の立場からしたら,積極的に支持したくなる報告だと思います.サプリメントから栄養素を摂取することを,栄養士はまず推奨しません.あくまでも,普段の食事から栄養素を摂取することを推奨しているはずです.そのことを補強するような報告の登場は,手放しに喜びたくなるものでしょう.まったく,正しいことだと思います.
サプリメント全否定ではない(と思う)
しかし,これはサプリメントによる栄養素摂取の全否定にはならない,と考えています.サプリメントに頼らざるを得ない人も,まったくゼロではないからです.このことについて考えをまとめたく,この記事を書き始めました.
以前,「野菜は高いので,安価なサプリメントで栄養を補給するようにしている」という方にお会いしたことがあります.
健康的な食事は高価である.こんなことは,日本で日常生活を送っている人は十分に感じられることだと思います.コンビニに行っても,またレストランに食事に行っても,炭水化物や脂質に偏った食べ物の方が安い方が多いです.健康的な食事は高いのです.このこととは無関係かもしれませんが,収入と栄養素摂取状況が関連していることは,確固たる事実として存在します(参照).
日々の仕事が忙しく,調理をする時間的な余裕がない.また,安価で栄養価の高い食物を選ぶスキルにも乏しい.その他,育児に追われ自身で適切な食事を作成することが難しい.このような方は,一定数存在するものだと思います.
この場合,日常摂取している栄養素が偏り,習慣的な視点でみても,適正とされる栄養素摂取量に届かないかもしれません.このような方々にサプリメントを勧めるのは間違いでないと考えています.
もちろん,最初にすべきことは,必要な知識を身につけるためのレクチャーだったり,忙しい中でも適切な食事を作成するための工夫を促すことだとは思います.これをすっ飛ばして,サプリメントに手を付けるのは絶対に誤りでしょう.そんな人は殆いないでしょうが.先の報告は,このことを補強する根拠にたり得るものだと思います.
しかし,これらを行った上で適切な量と種類のサプリメントを補給するのは,選択肢の1つにはなると思います.もちろん,過剰症のリスクも考慮して,です.過剰な期待をするのは禁物ですが,手段の1つとしては全然ありだと思います.
それでも怖い過剰症
サプリメントから栄養素を補給する場合,もっとも怖いのは栄養素の過剰摂取です.先の報告でもこれについて触れられていました.
先の報告では,サプリメントによる1日に1000mgのカルシウムの摂取がガンのリスクを上げることを報告していました.この1000mg,食事で摂取しようとすると,牛乳の場合だとおよそ1Lが必要になります.通常の食事に加えて,これだけの量を毎日摂取するのは困難なので,一般的な食生活を送っている上では過剰症は問題になりません.
しかし,サプリメントだと,これだけの量を摂取するのは簡単です.小さなタブレットをほんの1粒飲み込むだけで摂取できてしまいます.通常の食事ではおよそ困難な摂取量がいとも簡単に摂れてしまうのが,サプリメントの怖さです.
これを避けるためには,適切なサプリメントを選ぶ必要があります.自分に不足している栄養素を必要な量だけ摂取できるサプリメントを選ばなければなりません.そしてそのためには,習慣的な栄養素の摂取量を評価する必要があります.これは,個人ではなかなか難しく,栄養士がしっかりと評価し,判断すべきことだと思います.今は薬局でも栄養士さんの姿を見られるようになりました.気になる方は,一度相談してみると良いかと思います.
まとめ
タフツ大学の報告では,食事から栄養素を摂取することの重要性が示される形となりました.しかし,これはサプリメントの全てを否定するものではありません.様々な事情などで健康的な食事を送るのが難しい人の場合,適切な種類と量であれば,むしろ必要なものだと考えます.このことを改めて認識しておきたいです.参考になれば!