PC操作チュートリアル動画の作成のポイント

みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。

PCの操作方法をわかりやすく伝えるために,PC画面を録画して,チュートリアル動画を作成することがあります。

私も,これまでに何本かそういった動画を作ってきました。その経験から,チュートリアル動画作成において重要と思われるポイントがわかってきました。今回は,それらのポイントをメモとして共有したいと思います。

はじめに:PC操作チュートリアル動画とはどういったもの?

最初に,ここで紹介する「PC操作チュートリアル動画」がどのようなものであるか(どのような内容を想定しているか)について説明します。たとえば,下記のような動画がそれに該当します(それぞれ私が作成したものではありません)。

Video Player

こういった動画は,かならずしもテキストと静止画に勝っているとは考えていません。テキストと静止画には,自分のペースで一つずつ作業を行っていけるというメリットがあります(動画だと一時停止しないと分からないといったこともあります)。一方で,動画で見た方が理解しやすいという人もいますし,ある種の操作については,動画で撮影してしまった方が説明しやすいという作り手側の事情もあるかもしれません。

ポイント1:スクリプトの作成

PC画面の録画前には,スクリプト(動画の台本)を作成しておくことが望ましいです。スクリプトには,どのような流れで操作を行うか順番に記載していきます。チュートリアル動画では,物語性が不要なため,比較的シンプルな内容になるでしょう。基本的には,大まかなセクションと操作手順ごとにテロップの内容やナレーションを記載する形式になります。それらと画面操作が著しく異なる場合は,それぞれ別に書くと良いでしょう。

スクリプトは自分でゼロから作成することも可能ですが,ChatGPTに原案を作成してもらうこともできます。特に,汎用的に使われているソフトウェアの説明をする場合は,完成度の高いスクリプトができるかもしれません。オリジナルのソフトウェアについて説明する場合でも,構成は参考にできると思います。ChatGPTにスクリプトを作成してもらう場合,以下のようなプロンプトが考えられます(カッコ内を変更して利用します)。

【操作方法や機能】についてのチュートリアル動画スクリプトを作成してください。動画では,【インストール・有効化手順】,【基本的な操作方法】などを説明してください。視聴者が初心者でも理解できるよう,【カジュアル / フォーマル】でわかりやすく丁寧な説明を心がけてください。動画の時間は【1分】程度です。

ポイント2:画面操作・録画

チュートリアル動画では,画面操作・録画は非常に重要です。もしそれらが上手くいけば,無編集の動画を流すだけでも最低限の情報を伝えることができます。しかし逆に,画面操作と録画が上手くいかなければ,どんなに編集をしても限界があります。

私が画面操作・録画時に気をつけている点は以下の通りです。

  • 画面の解像度と拡大倍率:画面解像度を視聴デバイスのアスペクト比に合わせて設定し,可能であれば拡大しましょう。一般的に,アスペクト比は16:9で作成されることが多いので,解像度を「1920x1080」または「1280x720」に設定すると良いでしょう。また,拡大倍率を125%や150%に設定すると,視聴者にとっては見やすくなります(特に高解像度での撮影時には必須です)。
  • 全画面録画にする:画面の一部分のみを録画することもできますが,操作内容によっては画面外に出てしまうことがあるため,上記のように解像度を調整して全画面録画することが望ましいと考えます。
  • マウスを直線的に操作する: マウスの操作がぶれると,見栄えが悪く視聴者に違和感を与える原因になります。速くてぶれてしまうよりは,ゆっくりと確実に操作するようにしましょう(編集時に早送りにすることもできます)。操作内容を事前にしっかり確認することも重要です。
  • 操作と操作の間は十分な余裕を持たせる: 操作と操作の間には,ナレーションやテロップによる説明が入るため,余裕を持って時間を確保することが望ましいです。映像が短くテロップやナレーションが入り切らなかった場合はフリーズフレームなどで映像を伸ばさなければなりませんが,長めにしていた場合はカットするだけで済みます。
  • 不要な情報は表示しない: PC画面には様々な情報が表示されますが,動画には不要な情報もたくさん表示されています。編集時にこれらの情報を隠すこともできますが,予め表示しないようにしておくことで,動画編集時の手間を減らすことができます。例えば,画面下部のタスクバーは隠す,通知を表示しないように集中モードにする,名前やプライバシーに関わる情報を表示しないようにプライベートモードに設定する,IMEのサジェスト機能を切る等が考えられます。

ポイント3:テロップとナレーション

テロップとナレーションは,視聴者に情報を伝えるための重要な要素です。テロップをナレーションと同じ(字幕)にしても構いませんが,テロップではナレーションよりも簡潔な内容にするのが望ましいでしょう。


[ナレーション] Excelの画面上部にある「ファイル」タブをクリックしましょう
[テロップ] 「ファイル」タブをクリック

テロップは表示する文字数と表示時間に注意が必要です。表示する文字が多いと読み切るまでに時間がかかりますので,表示時間も長めにします。目安としては4文字/秒程度で,たとえば10文字のテロップを入れる場合は3秒間程度の表示が必要です。もちろん,表示時間を長めにすればどれだけ長いテロップを入れても良いというわけでもなく,行数では2行程度,1行あたり21文字程度が上限の目安となります(参考:TED 日本語字幕の表記ガイドライン 2023年4月22日閲覧)。

なお,私の考えでは,チュートリアル動画でナレーションは必ずしも必要ではありません。なぜなら,それらが閲覧される場面では音声を聞けない状況も多いと想定されるからす。そのため,音声がなくても内容が理解できるようにすることが重要になるでしょう。ただし,もしナレーションを付けるのであれば,音声情報があることで画面情報だけの場合よりも理解度が向上するようなものが望ましいと思います。

ナレーションはPC操作画面を録画する際にマイクに向かって自分でしゃべっても構いませんし,後付け(アフレコ)でも構いません。とはいえ,PC操作をしながらナレーションを付けるほうが操作と操作の間の調整もしやすくなるので望ましいかもしれません。後付けする場合は,AIの合成音声を使用することも考えられます。たとえば「VOICEVOX」は無料で利用できるにもかかわらず,高品質の音声が使用できますし,テキストファイルによる一括作成などにも対応しており,非常に効率的です。

ポイント4:間の調整(ディゾルブとフリーズフレーム)

テロップやナレーションを挿入していくと,それらに対して映像が長すぎたり短すぎたりすることがあります。そういった場合には,映像をカットしてディゾルブでつないだり,フリーズフレームを挿入して映像の時間を長くしたりすることが有効です。

ディゾルブは動画と動画をつなぐ際に用いるもので,動画と動画が重なりあいながらスムーズに移行させることができます。長すぎる映像の中間部分を削除してディゾルブでつなぐような使い方をします。長文の入力時や同じ操作を繰り返している冗長な操作を短くする場合などに使用します。

逆に,映像が短い場合は,フリーズフレームを使って映像を一時停止させることで,説明したい場面を写しながらテロップ等で説明を加えることができます。フリーズフレームとは,特定のフレームをフリーズ(静止)させて,画像として見せる方法です。

ポイント5:操作箇所の強調(ズーム・囲み枠)

チュートリアル動画で重要なのは,操作箇所を明確に示すことです。これを実現するために,ズーム機能や囲み枠をうまく活用しましょう。

チュートリアル動画では,PCの全画面を録画することが望ましいです。なぜなら,実際のユーザの操作は全画面で行われるためです。ただしこれにより,操作対象のボタンなどが小さくなることがあります。特に,動画をスマートフォンなどの小さい画面で視聴する場合はなおさらでしょう。そこで,ズーム機能を使って操作対象部分を拡大し,見やすくすることが大切です。

さらに,ズームだけでは操作対象を十分に強調できない場合には,囲み枠を用いて操作対象を明確に示すのも良い方法です。これにより,聴者が操作対象を瞬時に理解しやすくなると思います。

まとめ

今回は,PC操作チュートリアル動画の作成のポイントを5つ紹介しました。どれも私が実際にチュートリアル動画を作成していく中で重要だと感じたポイントです。参考になれば嬉しいです。

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