みなさん,こんにちは。
シンノユウキ(shinno1993)です。
食事計画を立案する際,まずは食品構成表や食品群別荷重平均成分表を作成することになるかと思います。しかし,いきなりそれを作れと言われても,難しいですよね。
そこで今回は,食品群別荷重平均成分表(食品群別荷重平均栄養成分表)の作成方法について,やさしく・わかりやすく紹介していきます。
食品群別荷重平均成分表は献立作成ソフト等により自動で作成することもできますが,今回は手元のデータから手で作成する方法について紹介したいと思います。
では行きましょう!
食品群別荷重平均成分表の作成方法
食品群別荷重平均成分表は下記の流れで作成していきます:
- ステップ①特定期間中の食品の総使用量を算出
特定期間(1年など)における,食品の総使用量を算出し,食品群ごとに使用量を合計します。
- ステップ②各食品の使用比率を算出
食品群ごとの総使用量のうち,各食品がそれに占める比率を算出します。
- ステップ③比率に100gあたりの成分値を乗じて合計
比率をそのまま重量に読み替え,100gあたりの成分値で計算します。計算後の値を合算したものが食品群別荷重平均成分表です。
なんだかすごく難しそうに感じますね…。でも大丈夫です。下記で1つずつ解説していきます!
①特定期間の総使用量を算出
まず,特定期間に使用した食品の可食部重量を食品ごとに合算します。
実際,ここの作業が最も大変です! 手計算でこれをしようとすると,かなーり大変です。頑張りましょう。献立作成ソフトを使わない場合,Excel等で複数日の献立を1枚のシートにまとめて集計すると楽だと思います。
期間は,多くの場合1年程度になるかと思いますが,施設によって異なるかと思いますので確認してみてください。
食品ごとにまとめ終わったら,それを食品群ごとにそれをまとめ直します。米や魚介類,肉類などの食品群別にまとめていきます。分類する食品群も施設等によって異なりますので確認してみてください。
サンプルデータとして,下記に魚介類についてまとめてみました:
食品コード | 食品名 | 特定期間の可食部重量 の合計(g) |
---|---|---|
10003 | あじ | 3096 |
10149 | べにざけ | 1692 |
10100 | まがれい | 1764 |
10083 | くろかじき | 1368 |
10313 | ほててがい | 2772 |
10361 | まだこ | 828 |
10321 | くるまえび | 1116 |
10388 | 魚肉ソーセージ | 288 |
合計 | 12924 |
②使用比率を算出
次に,それぞれの食品群ごとに個別の食品の使用比率を算出します。たとえば,魚介類の総重量のうち「あじ」が何パーセント含まれるか?といった感じですね。
今回の場合,魚介類の可食部重量の合計は12,924(g)です。それぞれの食品について,これに占める割合を求めていきます。
以下に「あじ」の例を示してみます。
例)10003 あじ の場合
魚介類の可食部重量の合計:12,924(g)
あじ可食部重量:3,096(g)
使用比率 = あじ可食部重量 / 魚介類の可食部重量の合計
= 3,096 / 12,924
= 0.2395…
= 24.0(%)
それぞれの食品の使用比率を算出すると以下のようになります:
食品コード | 食品名 | 可食部重量 (g) | 使用比率 |
---|---|---|---|
10003 | あじ | 3096 | 24.0% |
10149 | べにざけ | 1692 | 13.1% |
10100 | まがれい | 1764 | 13.6% |
10083 | くろかじき | 1368 | 10.6% |
10313 | ほててがい | 2772 | 21.4% |
10361 | まだこ | 828 | 6.4% |
10321 | くるまえび | 1116 | 8.6% |
10388 | 魚肉ソーセージ | 288 | 2.2% |
合計 | 12924 | 100% |
③使用比率を重量と読み替えて計算
次は,その使用比率をそのまま重量と読み替えて,それぞれの食品100gあたりの成分値で計算していきます。
それぞれの食品について,エネルギーやたんぱく質,脂質などの栄養素を使用比率で読み替えて計算してきます。「読み替えて」の意味がわかりづらいかもしれませんので,下記に示した実際の計算式を確認してみてください:
例)10003 あじ,エネルギーを計算する場合
使用比率:24.0(%)
100gあたりのエネルギー成分値:126(kcal)
エネルギー(kcal) = 100gあたりのエネルギー成分値 × 使用比率
= 126 × 0.24
= 30.2
*上記の計算をすべての栄養素・食品で繰り返す
それぞれの食品で,それぞれの栄養成分値を算出し,食品群ごとに合計したものが食品群別荷重平均栄養成分表となります。
食品コード | 食品名 | 可食部重量 (g) | エネルギー (kcal) | たんぱく質 (g) | 脂質 (g) | 炭水化物 (g) |
---|---|---|---|---|---|---|
10003 | あじ | 24.0 | 30.2 | 4.7 | 1.1 | 0.0 |
10149 | べにざけ | 13.1 | 17.9 | 2.9 | 0.6 | 0.0 |
10100 | まがれい | 13.6 | 13.3 | 2.7 | 0.2 | 0.0 |
10083 | くろかじき | 10.6 | 10.9 | 2.5 | 0.0 | 0.0 |
10313 | ほててがい | 21.4 | 18.5 | 3.5 | 0.1 | 0.7 |
10361 | まだこ | 6.4 | 4.6 | 1.0 | 0.0 | 0.0 |
10321 | くるまえび | 8.6 | 8.7 | 1.9 | 0.1 | 0.0 |
10388 | 魚肉ソーセージ | 2.2 | 3.2 | 0.2 | 0.1 | 0.3 |
合計 | 100.0 | 107.4 | 19.6 | 2.2 | 1.1 |
これで食品群別荷重平均成分表を作成することができました!
計算するのが面倒…。そのまま使えるテンプレはある?
上記で食品群別荷重平均成分表の作り方を紹介しましたが,慣れない方にとってはとても大変ですよね…。そこで活用したくなるのがそのまま使えるテンプレです。どこの給食現場でもそのまま使える荷重平均成分表があればとても便利ですよね。
しかし,基本的にはそんなテンプレはありません。なぜなら,そもそも荷重平均成分表は,それぞれの施設で提供する食事内容に依っているからです。上記で作り方を説明したとおり,荷重平均成分表はそれぞれの施設で一定期間にわたって提供した食事をベースに作成します。そのため,汎用的に活用できる荷重平均成分表というのは基本的にはなく,それぞれの施設で作成することが基本となります。
以前は,荷重平均成分表を活用して作られる「標準食品構成表」が公開されていました。しかし,ある時を境に公開されなくなりました。(参考 食育トピックス:どこへ行った?『標準食品構成表』)これには,上記のような荷重平均栄養成分表の特性も関係しているものと推測されます。
したがって,『標準食品構成表』や他施設の荷重平均栄養成分表等を“目安”にするのは,それほど問題ないかと思いますが,食品群別荷重平均成分表の作られ方や活用の仕方などの性質を鑑み,施設ごとにしっかりと作成するのが基本ということになります。
食品群別荷重平均成分表の作成に参考にしたい書籍・記事
上記までの説明で「理解しにくい」とか「さらに深く勉強したい」という方は,下記の書籍がオススメです:
また,国民健康・栄養調査の結果から食品群別荷重平均栄養成分表を作成する記事もありますので,参考にしてみてください: